フェールオーバークラスターマネージャーでSQL Server Always On 可用性グループのリソースを操作する際の注意事項


こんにちは、 SQL Server サポートチームです。 

本記事では SQL Server Always On 可用性グループ (以下、AG) を構成している場合に、フェールオーバークラスターマネージャー の操作で注意するべき点をご紹介します。 

  

AG の同期はプライマリレプリカとセカンダリレプリカの間でトランザクションログを転送することで実現しており、同期モードや同期状態などは SQL Server インスタンスで管理しています。 

WSFC では AG の同期状態などを保持していないため、AG の WSFC リソースをフェールオーバークラスターマネージャーから操作することは基本的にサポートされていません。 

AG のフェールオーバーや同期モード変更などの操作は、SQL Server インスタンスに対して SQL Server Management Studio の GUI やクエリで実施する必要があります。 

SQL Server インスタンスは操作された内容をもとに WSFC リソースの設定変更やフェールオーバーを実行します。 

  

例として、WSFC リソースの「実行可能な所有者」のプロパティは、 AG のレプリカが自動フェールオーバーする設定の場合はチェックが入り、自動フェールオーバーしない(手動フェールオーバー)の場合はチェックが入らないように構成されます。 

そのため、フェールオーバークラスターマネージャーから直接設定を変更することは想定されておらず、もし変更した場合は予期せぬ動きが発生する可能性があります。 

また、クラスター検証レポートでは AG の同期設定などを考慮しないため、自動フェールオーバーしない設定の場合に下記の警告が記録されることが想定されますが、フェールオーバークラスターマネージャーを操作して実行可能な所有者にチェックを入れる必要はありません。 

  

■警告の例 

このリソースに、実行可能な所有者として一覧表示されているクラスターのノードのうち不足しているノードがあります。このリソースがメンバーであるクラスター化された役割は、実行可能な所有者の一覧に含まれないノード上で開始することはできません。 

 

 

■手動フェールオーバー時の画面例 

・可用性グループのプロパティ    (手動フェールオーバー)

 

・WSFCの可用性グループリソースのプロパティ (手動フェールオーバー)

 

■自動フェールオーバー時の画面例 

・可用性グループのプロパティ (自動フェールオーバー)

 

・WSFCの可用性グループリソースのプロパティ (自動フェールオーバー)

 

 

フェールオーバークラスターマネージャーを使用した AG の操作に関する制限事項は、下記の Docs を参照ください。 

  

WSFC フェールオーバー クラスター マネージャーを使用した可用性グループの操作に関する制限事項 

https://docs.microsoft.com/ja-jp/sql/database-engine/availability-groups/windows/failover-clustering-and-always-on-availability-groups-sql-server?view=sql-server-ver15#restrictions-on-using-the-wsfc-failover-cluster-manager-with-availability-groups 

  

Always On 可用性グループの前提条件、制限事項、推奨事項 

https://docs.microsoft.com/ja-jp/sql/database-engine/availability-groups/windows/prereqs-restrictions-recommendations-always-on-availability?view=sql-server-ver15